海潮(うしお)温泉
かじか荘
 やまたのおろちを退治したスサノオがこの地にありて我が心すスガスガしいと宮を建て、出雲の地名の起こりにもなったという須我神社の程近くに海潮温泉はあります。民家と旅館が小さな集落を作っておりとても静かなところです。共同浴場のかじか荘は秘湯を守る会の宿「海潮荘」の駐車場横にあります。
 建物は古くて少々くたびれていますが、湯の良さで地元に大切にされていることがわかります。施設の横には薬師様も祀られています。老人たちだけでなく孫がおばあちゃんをサポートしながら女3代で入浴しに来たり、小学校や幼稚園に子どもを送り出した後で湯浴みしに来た若い嫁、仕事前の板前さんなど多岐に渡った客層のようです。もちろん私は米子からわざわざ50ccで乗り付けます。山陰鳥取、島根で感じることは見知らぬ人にも必ず挨拶をしてくる土地柄。小学生はもちろんヤンキー風の高校生も道ですれ違いざま挨拶されてびっくりすることがあります。そんな礼儀正しさが共同浴場にもあってとてもスガスガしい気分になります。
 かじか荘は市が管理する無人の施設。運営は利用者全員にゆだねられ、誰でも自由に利用できるとともに利用者の良心によって運営される市民道徳涵養の場でもあります。「利用時間を守ること、料金をきちんと納めることが特徴です」と入口の掲示板に掲げてあります。料金箱に200円を投入し、ラジオ体操のスタンプみたいに済スタンプを押してから入館します。
 湯船は5人も入ればいっぱいの縦長でシンプルなタイル張り。蛇口ひねりの掛け流し。節水を求める注意書きが張ってありますが、蛇口全開でも適温です。水を足すと湯の成分が薄くなるとも書いてあります。
 温めでさらさらの湯はしばらくすると気泡がまとわりついてきます。蛇口からザーザー流れる湯の音とネイティブな出雲弁が飛び交う地元の社交場ですが、貸切状態になると私の頭の中ではビルエバンスのピアノソロが静かに流れ、マッタリ長湯モードに入ります。
 無料の座敷もありますが、ホールにはベンチとテーブル。カップヌードルや菓子の自販機があり菓子の自販機の中には手ぬぐい、石鹸シャンプーまで入っています。そして何より瓶入り大東牛乳〈地牛乳、白200ml、コーヒー180ml各90円)があり、湯上り後の牛乳好きを喜ばせます。

(04.12 会員No.1331)


所在地 島根県雲南市大東町中湯石475
交 通 山陰自動車道 東出雲I.C.から23km、車1時間
電 話 なし
日帰り入浴 入浴¥200 9時〜22時 休みなし
宿泊料金 宿泊設備なし
泉 質 含石膏芒硝泉 源泉39〜42度 pH7.2
風呂の種類 内湯(男1、女1)
設 備 休憩室 駐車場
その他


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